藤崎財閥の取締役室。啓吾は鋭い眼差しを翠に向けている。
「立川も知っていて当然だろう。経営合体について。どうして勝手なことをした」
「……。」
「黙っていたらわからない。返事によっては今後飯村物流との取引も含めて業務内容を変更してもらう。」
「そんなっ。」
翠が啓吾をすがるような目で見つめる。

栞菜はふたりの間に座りながら居心地の悪さを感じていた。

「藤崎財閥にとって高宮財閥との経営合体をする意味は?不利益じゃない。どう考えてもお荷物でしかない。」
翠は感情的に話をする。