長い長い階段をのぼると小高い丘がありそこに栞菜の兄が眠っていた。



もうとっくに兄の年齢を越えた栞菜。




思い出すのは大学卒業を間近にして慣れないスーツを身にまとい高宮財閥で研修をする兄の姿。




いつも笑っていた兄の姿。




優しくて栞菜をいつも守ってくれた。




「久しぶりだな。長い間、顔見せなくて悪かったな。」




啓吾はお墓の前に膝をついた。




「俺、頑張るからさ。お前の分も頑張るから。お前の大切なもの守れるように、がむしゃらにこの9年やってきたんだ。守れるだけの力もてるように、これからも頑張る。」




啓吾がそんな思いでいたのかと思うと心がぎゅっとつかまれるようだった。




大学卒業を控える頃、兄の死で落ち込む自分のとなりで啓吾は大きな重荷を背負っていたんだ、、、