この気持ちが翔に届かないのかな・・・


暗い、暗い、部屋の中・・・。
一人たたずむルイ。

「翔くん・・・?」

向こうに見える、人影。
あの影は確かに慎だ。

「翔くんっ!!」

うれしそうに慎に近づくルイ。
慎の姿が見えると、ルイは足を止めた。

「・・・翔くん・・・誰?」

慎の隣には知らない女性。
慎がこちらを向いた。

「あっ翔く・・・」
「この世の中に、
"真実"なんてありはしねぇんだ。」
「え・・・?」

ガバッ!
ベットから起き上がる。

「ゆ・・・夢・・・?」

そう、今までのはすべて夢だったのだ。
それにしても、翔の横にいた女性。
何か引っかかる・・・。

コンコン!
誰かがドアをノックした。

「はぃ。」
「失礼しマース」
「陸・・・」

お見舞いに来てくれたのは、
幼馴染の浜辺 陸(ハマベ リク)
つんつんの髪。
すらっと高い背。
傷だらけの手・・・。
彼のその手の傷のわけを、
まだ誰も知らなかった。

「どうしたんだよ?汗びっしょりじゃえーか。」
「うん・・・ちょっと悪い夢見ちゃって・・・」
「悪い夢?」
「なんか・・・翔くんが知らない女性と一緒にいたの、変だよねっ!ルイ、おかしくなっちゃったのかも」
「おかしくねぇよ。
普通、1年もほっとかれちゃ、我慢できねーよ?」
「あはは でも・・・ルイは翔くんを信じてる・・・」

ホントに・・・?
ほんとに心から信じれてるの?
・・・不安もある。
100%信じれない自分が・・・悔しい。

「・・・確かめてこいよ。」
「え?」
「ルイがいいならいいけどさ、
本当に100%信じれるならいい。
けどよ、100%信じれないなら・・・確かめてこいよ。」
「無理だよ・・・今、翔くんはアメリカにいるんだよ?」
「明日・・・帰ってくる」
「嘘っ・・・」
「本当だよ。 これが日時と場所。」
「・・・」
「じゃあな、また来る・・・」

陸は、一枚の紙切れを渡して病室を去っていった。
紙には翔くんの乗る飛行機の時刻などが書いてある。

そして、最後に・・・


    【大丈夫だ。 しっかりしな。】