その教室には男の子が2人と女の子が1人いた。私は自分と森川さんを含むこの5人の共通点を探したが、少なくとも外見での共通点は特にはなさそうだ。雰囲気もそれぞれ全然違う。ならばなぜ私がぴったりと言われなければならないのだろう。

教室にいた3人の中に見覚えのある顔を見つける。
「野崎さん！」
中学校の同級生だった彼女が同じ高校にいるとは思っていなくてつい声が出てしまう。
「あ、なっちゃん！同じクラスだよね。部活まで同じだなんて。」
野崎さんは嬉しそうに言った。彼女のことはあまり得意ではない。なっちゃんとは彼女が勝手につけた私のあだ名。それに不満はないが、ほとんど話したことのない彼女に急にあだ名で呼ばれた時は驚いた。下の名前で呼ぶよう頼まれたが、私は野崎さんに慣れてるからと断ったのだ。
「桜笑と名取さん知り合いなの！ちょうどいいじゃない！」
森川さんまで嬉しそうに言った。まるで勝ったとでも言うような顔で。
窓際に立っていた2人の男子の方を見た。1人は見覚えがある。今朝の入学式で新入生代表として話していた人だ。