「どうして私を誘うの。」
私の答えは決まっている。わざわざ部活を作らなくとも幽霊部員として過ごせる部活はある。すでにその候補はある。しかしせっかくの誘いをすぐ断るのは感じが悪い気がした。
「あと部員が一人足りなくて困ってるの。そんな時に名取さんが守ちゃんにああ言われてたから。」
森川さんの微笑みは愛想笑いに見えたが、誰だって愛想笑いくらいするだろう。人数合わせなのは大体検討が付いていた。さもなければ私なんかが誘われるはずがないのだ。しかし少しムッときたのは少し期待していたせいだろうか。早く話を終わらせたくなった。
「もう少し考えさせてもらえないかな?私そろそろ帰らないといけないから。」
私は悩むふりをして、申し訳なさそうに彼女を見た。すると彼女は再び笑って言う。
「守ちゃんにもさっきそう言ってたよね?名取さん入る気ないでしょ。」
それを察しているなら早く帰らせてほしい。「そんなことないよ〜」と少し笑ってみせて、手を振ってその場を去ろうとした。しかし彼女は私の手を掴んだ。
「あなたがうちの部活にぴったりなのよ。」
と強引に私の手を引っ張り、私を職員室の向かいの教室に連れて行った。