「どこ行く?」泰智が優衣に問いかける。

ここの神社は凄く大きく、県外からもたくさん人が来る。

(昔ここで迷子になったなー)
と思いつつ行きたい場所を考えていた

「あ!んーじゃあ、射的!」

「おっけ!行こっか」 泰智が答えた。

【バンッ!パンッ!ポンッ!】
花火の音が祭り会場中に響き渡る。

「あ、始まちゃったね」
射的に向かう途中で足を止め夜空を見上げる。

「だな…」



「あのね…泰智……」優衣が下をうつむきながら細ほぞとした声で呟く。

「ん?どうしたの?」泰智が聞く。

「いや、!あっちの方が花火良く見えるかな?って!」
「向こう行こ!」

優衣が何かを言おうとしたが、誤魔化した。


「優衣〜、ほんとにこっちであってるのか?」泰智が歩き疲れ、心配をしている

「えっ、多分。」
「こっちにベンチがあるはずなんだけど…」

「お前は方向音痴なんだから…」といいながら泰智は優衣の腕を掴み歩き始めた。

「あのねっ…泰智…」
「話したいことがあるんだけど…」

優衣が声を震わせながら足を止めた。

「…」

「あのね!ずっと…泰智の事が…」
「"好きなの"!!」
「急にごめんね…」

「えっ?」泰智が驚いた。

「あの…だから付き合ってくださいっ!」息を切らせながら優衣は叫んだ。

「…」泰智は黙ったままだ。

(返事してくれるかな…)

「おぉーーい!優衣!泰智〜!!!!」
手を振りながら大声で呼ぶ。

「行こっ…」泰智が呟いた。

(…)優衣は涙目になりながらうつむいた。