視線 ~人生が変わる瞬間~


「も、森田君とか…好きかな」


「えーっ!まじで!?」


 私は恥ずかしくて、誰にも聞かれないようにわざと小さい声で言った。


 すると、一軍の女子が森田の席に駆け寄って大声で言った。


「森田ぁ!織坂が森田の事好きなんやて!良かったやん!」


 私はその行動に驚く暇もなく、一軍女子の口を手で覆った。


「ちょっ…ちょっと待って、やめてよ……!」


 恥ずかしかった。


 思えば、誰にも言わないでとか内緒にするからとか、何も言ってなかった。


 後悔と同時に恥ずかしさが襲ってきて、一軍の女子の袖を一生懸命引っ張った。