記憶(仮)


柚葉さんが部屋から出て行ったあと俺は少し考えていた。

今俺は体のいたるところがものすごく痛い。柚葉さんと戦った…らしいけど俺にそんなことできるとは思えない。記憶を失う前はできたのかもしれないが。
一つ覚えていることがあった。覚えてるというか思い出したことだが、能力が使えたみたいだ。なんの能力かわからないし、この世界のみんなが使えるのかまったくわからない。ただ、何かしらの能力が使えたことは事実みたいだ。


にしてもここの部屋広いな~

「失礼します。」

『あ、はい』

「お待たせしました。」

「怪我の具合はどう?」

『あ、ものすごく痛いですけど、大丈夫です。…あの柚葉さん。この方は?』

「この館の主の鈴華お嬢様です。」

『鈴華…すみません。なんていえばいいですか?』

「なんでもいいわよ。別に”お嬢様”なんてつけなくてもいいのにね、柚葉は”お嬢様に使える身。呼び捨てなんてできません”って言うからもういいやって諦めたけどね」

『あ、なら鈴華さん。勝手に戦いにきてしまってすみません…』

「それはあなたの記憶がちゃんと戻ってから言って。今のあなたはなんで戦いに来たのか分からないのに、謝るのはおかしいわ。本当に反省してるかわからない。」

『そう…ですね。ごめんなさい。ちゃんと記憶を取り戻してから再び謝りに来ます。鈴華さん。俺に何か用があったんではないでしょうか…?』

「ええ。3つぐらいあるけど、大丈夫?」

『その大丈夫?は体のことでしょうか?』

「それ以外に何があるのよw」

『頭の問題』

「「ぷっ!」」

『え?俺何か変なこと言いました?」

「いや~真面目な顔でそう答えるとは、思わないからね」

『体の方は多分大丈夫ですけど…頭の方は分かりません』

「まあ、いいわ。…それであなたの呼び名を決めたいんだけど何がいい?」

『あまり変なのではなければなんでもいいですよ。』

「なら柚葉。名前の辞典持ってきてくれる?」

「わかりました。待っていてください。」