朱奈が自分の鞄の中に隠し溜めていたおやつを入れていると、お母さんがトンデモ発言をした。


「あ、そうだ、最近人喰い狼が出るらしいから、気をつけるのよ!小休憩ぐらいならいいけど寄り道はしない事!夜になると現れるらしいから、日が暮れる前には着くようにしなさいね」







「ーーーーーーーはい!?」







「だから、狼にだけは気をつけなさいね。…あ、あと、そこら辺に生えてる草、実は食べない事!!」


「そんなことぐらいわかってるよ!!そこまで子どもじゃないもん!…じゃなくて!!」


「ふー…何?」


「人喰い狼が出るのに、可愛い可愛い愛娘に行かせるの??あんな遠い所まで?」


「大丈夫、大丈夫。今から出れば、夜前には余裕で着くし…それに」


「それに?」


「狼だって、選り好みするでしょうからね、見るからに美味しくなさそうなアンタは大丈夫!」




お母さんはそう言って、Vサインとドヤ顔を披露する。…何気にひどい




「はぁ〜、まぁ、何が出ようが、行くことに変更はないみたいだから、さっさと行ってくるよ。明日の夕方前には帰ってくるよ」


「はいはい、じゃ、気をつけてね」


「行ってきまーす」




不安が全くないかと言われたらそんなことはないのだが、まぁ、そう簡単に会わないだろ←