「陽輝ー、帰らないのー?」
どこからか、可愛い女子の声が聞こえてくる。
「帰るよ、でもちょっと待って!」
思いがけず名前を知ってしまった。
陽輝と呼ばれた彼はこのまま私を放っておくか迷っているのだろうか。
このままここにいたら、この人は帰らないな…それは申し訳ない。
そう思った私は、ゆっくりと立ち上がった。
その拍子に、足がふらついた。
「おぉ…大丈夫?」
“陽輝”が私の腕を持って支えてくれる。
「すみません…大丈夫です。」
その手をやんわりと払い、小さくお辞儀をした後私はその場を離れた。
「陽輝、どうしたの?」
「さっきの子、何かあったのかなって。」
「なんで?」
「泣いてたから。」


