「だから、別れよう。」
「うん…」
彼氏から別れを告げられたのは、あの会話の数日後。
私は、沸き上がる怒りを抑えながらもなんとか返事をする。
「こういうときでも、お前は何も言わないんだな。」
そう吐き捨てられた言葉に、私はうつむいていた顔を勢いよくあげた。
「そういうところ、すげーイライラする。」
え…なに、私が悪いの?
あんたがあいつと浮気をしたのも私のせい?
私はなんとも言えない悔しさに、思わず涙をこぼした。
「じゃあ俺いくから。
あ、花音に嫌がらせとか絶対やめろよ。」
それだけ言って、私の元彼氏…上原 亮(ウエハラリョウ)は行ってしまった。
「亮…終わった…?」
「うん、終わったよ。」
「ごめんね、私のせいで…」
「大丈夫、花音は気にすんな。」
私の友達だった佐倉 花音(サクラカノン)の元へ。
何故私がこんな目に…なんて、理由は分かっていた。
私がつまらない人間だから。
私はその場に座り込み、泣いてしまった。
人が来るから止めなきゃと思っていても、どうしても止めることはできなかった。


