何度考え直してみても、

僕は生まれてこの方20年……ずっと男として生きていた。


そんなことは当然で、疑いようのない事実だ。



けれどもそんな当たり前のことを、実は全部嘘で今までの人生は夢でした、なんて落ちを探してしまうのは僕が君に恋をしたからだ。




「ーー晴紀(ハルキ)!」


猛暑の中、キラキラとした笑顔で僕を呼ぶ。


気だるかった身体もその声を聞けば、軽くなる気がした。


「はい、アイス半分こ。」


コンビニにて二個に分けられるタイプのアイスを購入してきた彼ーー哉都(カナト)はにこやかに半分のアイスを手渡してきた。


「ありがとう。」


受け取って口付ければ爽やかなソーダの味がした。


横目で隣を見る。


哉都は幼馴染だ。幼いときからずっと一緒にいる。
そしてずっと片想いをしている。


僕よりも頭一つ分小さな彼を見れば、暑さで汗を掻いていた。

肌を滴る滴が艶かしい。


正直アイスよりも、その肌を舐めたいとか言ったら引かれること間違いなしだ。


口元のアイスをかじって、空に掲げる。


日を浴びてみるみる溶けていく。


僕の恋心もこんな風に消えないかな、なんて……あり得ないことを考えてみたりした。


「あ、晴紀、アイス溶けてるよ!」


だらだらと溶けたアイスが僕の腕を伝っていく。