夕餉時　

私の恋仲は、どんな人なのかという
話題でもちきりだった


過去、奉公先でもこのような気まずい経験をしたことがあった


あの時は、壱が私に似ているのか
私が壱に似ているのか

そんな話題だった





どんな女なのか

色々な想像をしてくれているが
そのどれもが、雪に当てはまらない


聞こえているが、黙々と食事をする



痛い…



心が…





箸を置いた




スッと立ち、お膳を片付け自室へ




猫達は、じゃれ合っていた



雪が言っていた

猫は、怪我や病気をしても
普段通りに生活をする
決して、弱みを見せない


私にそっくりだと



｢猫、無理するな　ネコ、手加減しろ｣



どちらも猫ネコでややこしい



｢斎藤　いいか？｣



猫達と戯れていると永倉さんの声がした

気配からして、全員いそうだ



｢ああ｣



開けられた扉からは、申し訳なさそうな
皆が、顔を出す


私の部屋に皆来るなんて、珍しい



｢あの…　恋仲が亡くなってるって
さっき、聞いて…　悪かった…｣


私は、ゴソゴソするネコを膝に乗せ
にこりと笑った


｢恋仲じゃない
大切に想っては、いたが
彼女は…　飼い主だ｣


皆が、私をジロジロ見る


｢ちょうど…　１年前くらいに拾われた
飼い主として、最高の人だった
春に亡くなるまで…
私を大切にしてくれた｣



自分をネコのように表現した


この例えがぴったりだと思ったから


｢クスクスッ　斎藤君、ネコみたい｣


｢彼女にもそう、言われた｣



私は、沖田さんに微笑んだ