私が連れ込まれた屋敷は、元々空き家

新選組が踏み込んだ時には、私が蔵にいるだけだった



着物を整え、深雪に手を引かれ



島原へ








「幸と申します」





淑やかに挨拶をする






あ、この人だ

近づいてきた気配でわかる



「伊東甲子太郎です お見知りおきを」



やはり、藤堂さんに命令していたのは
伊東さん



私の胸を引っ掻いたのは
伊東さんの弟 鈴木三樹三郎



藤堂さんは、ぶっきらぼうに挨拶をした



記憶が無い頃は、天真爛漫な明るさ
ニコニコしてて
ネコに似てると思ったものだ



永倉さんや原田さんに可愛がられて
藤堂さんも2人に懐いていた



今は、会話もないようだ




「こっちにおいで!一緒に飲もう!」


「え!? あ、はい」




藤堂さんに手を引かれ


試衛館の人達から離れる



1つの部屋で、真っ二つな幹部達




「お酒飲める?」


知ってるくせに聞いてくる

藤堂さんもなかなかの演者だ




「少しなら…」



ぎこちなく会話をしている