「藤堂さん… どうして私をさらった」


「家茂公の妹があの集落にいると聞いた
盲目で、若いからすぐわかるだろうと
火をつけてあぶり出した…
まさか、斎藤がその姫だとはね」


「違う 私じゃない
藤堂さん、この事は言わないで
私も、言わないから」


藤堂さんが、私を包んだ腕に力を入れる



「思い出したくなかった…

もっと違う出逢いがしたかったよ…」



外の空気が入ってきた



「藤堂さん、逃げて!新選組が来たよ」



「うん」





藤堂さんが去って、すぐ




バタンッ


「一!!無事か!?」


「無事」




胸元を整え、怪我をしたことは言わない






言わないけど





痛いよ





胸の中が、シクシク痛む









藤堂さんを助けなきゃ