「壱? しっかりしろ!?
なあ? 気でもふれたのか?」


いつまでも、笑っているから
ゼンさんが堪えきれなくなった




先生は、悲しそうに言った





「違うよ 壱さんは、目が見えなくなった
そうだろう?」



私は、微笑みコクリと頷いた




そういえば…



口数が減ったと自覚していたけど

最後に言葉を発したのは、いつだろう




新選組にいるときは
沖田さんや山南さんに
独り言をからかわれる事がしょっちゅう
大違いだ



「壱… なんで… なんで、毒なんか…」



そんなの聞く? 死ぬ為だろ




「善!責めてはいけないよ!
壱さん、力になるから話してくれないか?」





言えば、信じてくれる?



今更、私は壱じゃないなんて言っても
誰も信じないよ



2人は、私が女だから見分けがつくだけ



私は、私として、認められたかった




土方さんは、気づいてくれると…
思ったのにな…


ネコは、飼い猫になって野生の勘をなくしたのかな…