クンクンクンクン……


ピタッと、エリックの動きが止まった。


「(何かあった?)」


「(この本だけ、なんか硬いというか、重たいし、本全体は、埃まみれなのに、一部分だけ、ホコリがない。多分これだよ。それになんか、変な匂いがする。これ俺嫌い。)」


まるで、探偵だな。

私は、コツコツコツと、そのエリックが言っていた本を見た。

確かに、いかにも古めかしい。

でも、嫌な匂いはしない。

なんか白い……神聖な…感じ?


ていうか…これって、引くのかな?押すのかな?

私は、一回押してみた。

が…反応は、無い。

次に引いてみた。

だけど、また、反応はなかった。

私は、その本を引き出してみた。


確かに、一部分だけ、ホコリがない。………あ…れ?

たまたま、本を見ていたら、裏の部分に凹みがあるのに気づいた。

私は、本の裏表紙を見た。

この形........どこかで見たような?

えーと、なんだっけ...


「(なぁなぁ?この形って、アリスが持ってる…今アリスが触ってる、そのロザリオじゃないか?)」

私のロザリオ?

私は、ロザリオを見た。

あれ?私ロザリオなんか触ってたっけ?


確かにエリックの言った通り、ロザリオを触っている。

無意識だった。

私は、ロザリオを首から外した。


そして、本の裏表紙にあった、凹みと見比べた。


あ、ほんとだ。ぴったりな気がする。


私は、恐る恐る、凹みにロザリオをはめた。


カチッ


音が鳴る。


ギィィィ


錆び付いた音が本棚から鳴った。

本棚が動いた。

動いて見えたのは、階段。

地下に続く、階段。


じぃっと見ていたら、もう本棚が閉まりそうだった。

私は、エリックと、その閉まりそうな本棚から階段に続くところを入った。