「あ……」

病室と思われるベッドの周りには、みんながいた。

良かったぁ。無事だったんだ。怪我もないみたいだし。

あれ……?

愛鳴さんは、どこ?


「ンン?目覚めたの?良かった。」

壱鳴が、微笑んでくれた。

壱鳴の声に、みんなが起き始めた。

「おはよう。アリス。どこも怪我は、ない?」

心配してくれたのは、架鳴。

「助けてくれたんだよね?ありがとう。」

ありがとうと、言ってくれたのは、詩鳴。

「…秘鳴と遅鳴と愛鳴さんは?」

私が聞くと、みんな固まった。

「ひ、秘鳴と遅鳴は、飲み物を買いに言ってるよ。」

引きつった顔で言ったのは、とーな。

「じゃあ、愛鳴さんは?」

私が聞くと、オドオドしながら、詩鳴が、

「ト、トイレ?」

この子は、嘘が下手な時もあればうまい時もある。

今は、前者だ。

「ねぇ?愛鳴さんは、どうしたの?」

「ア、アリス。あのね。落ち着いて聞いて欲しいんだけど、愛鳴兄さんは…」

とーなは、話をグッと止めた。

「愛鳴兄は、落ちた時に頭を強く打って、今も意識がないんだよ。」

代わって話したのは、秘鳴。

妙に落ち着いているが、目がほんのり赤い。

きっと泣いたんだろう。

「愛鳴さんの所まで、連れてってくれる?」

私が言うとみんなは、顔を見合わせて頷いた。