「中原…」



初めて、遠野が喋った。



「本当になにも覚えてないのか??」


「えっ??」


「遠野くん‼だめ‼」


「中原はなにも覚えてないのか??」


「私…」



そのとき、一瞬だけ記憶がフラッシュバックした気がしたが


わからない。




「思い出したいのか??」


「………。思い出したい。」


「じゃあこい‼」



遠野はそう言って、私の腕を掴んで走りだした。