線路の前に立つ。車通りはほとんどない。



息をひとつ、吸った。


夏の青の、草の匂いがした。



もう、いいんだ。悩むことも、苦しむことも、なにもかも、なくなる。


私が何もかもなくなったあとでも、何ら変わらず廻る世界を上から見て、ほらやっぱり、なんてきっと言うんだ。



制服のスカートが、風に靡いた。


また一歩、前に出た。