そんなことを思い出しながら、私達は学校へ向かう。

私とみのりとみずきは正確には戻る、だろう。


「っ……!!」

鼻に軽い衝撃を受けた。少し痛い……。

痛みに堪えながら前を見ると、みずきが立ち尽くしていて、何かを見ていた。

「う……!!」

正木もみずきが見ていたものが見えたらしく、なにやら
声をあげていた。


私もみのりもその何かを見ていない。

顔を覗かせようとしたが、正木に立ちはだかられ、前が見えない。

「ちょっ、正木……!? 何するのよ?」

みのりがぐぐぐ、と正木の手を払おうとするが、女子と男子の差で、どうにも払えなかった。

「吉田だよ」

正木がひそひそと私達に耳打ちをした。

吉田さん……? あの子は、だって、捕獲されたはずじゃ……。


「え、吉田さんって!」

つい大きな声が出てしまい、すぐに私は慌てて口を押さえた。

私のバカ。みずきを傷付けてしまう……。

怒らせてしまう。

「しっ、みずきがいるだろ……」

正木に注意されてしまった。

不安に思いながらみずきを見てみる。

横目で、私達を見ていた。

「ご、ごめんなさい……」

俯いて謝る。

こんな風に空気が読めないから、からかわれてたのかなって思ってしまう。

「いいよ、もう。情報はちゃんと言わなきゃ。死にたくないし」

少しだけ怒ったように聞こえたけど、随分と協力的なようだ。

「何? おかしい? 命懸けてるんだよ。悪い?」

私の表情を見て何を思っていたのかを察したのか、みずきは私に鋭い言葉を向ける。

「ごめん……」

でも、何でだろう。いつもより、優しさを感じる。

こんな状況だから? 命懸けだから?

でも、今の私には全くわからない。


「吉田は……違反をして捕獲された」