「でもさ。歩くのは良いけど、どこ行くの?」

みのりが正木にきいた。

確かにそうだ。歩く目的の場所が無かったら、歩く意味がない。

むしろ、当てがなく歩くから危険性は余計あがる。

流石に考えているだろうけど……。

皆は正木をじーっと見つめる。

「そ、そこまでは考えてねえよ! あやかもみずきも良い案ねえのか?」

正木は焦って、私とみずきに頼ろうとしてきた。

二人とも正木を見て苦笑い。

「言い出しっぺは正木でしょ、しっかりしてよー」

私は軽く正木の頭を叩く。

さっきまでの悲しくて、最悪の雰囲気は全く消えて、少しだけ明るくなっているような気がする。

そんな微笑ましい光景が少しだけうれしい。

いじめられるよりこっちの方が……なんて思いそうになる。

でもそれはいけない。心の中でそう葛藤する。

「あっ!」

そう言えば! 運営は確か、「民家は入ってはいけない」といっていたはず。

だったら……。

「学校に行こう!」

私とみのりが夜に居たときには、職員室の明かりは付いていた。

私達が学校に居たときからここの変な世界に来たときまで、特に異変は感じられなかった。

だから、きっと、先生はいる。

「おう。それなら早く行こうぜ」

だけど、何だか……不安になる。