「うう、う……」

みのりの声が聞こえた。

いや、お腹の音かな? 多分、みのりもご飯は食べてないだろう。

「みのりどうしたの?」

私は、首だけを動かしみのりを見るが、

当の本人はぽかん、としていて、

「私何も言ってないけど?」と言った。

背筋が凍る、とはこういうことだろう。

急に寒くなった感じがした。

思わずぶるぶるっ、と震える。


じゃあ、誰が言ったの……。

正木は眉をひそめ、「どうしたんだ?」と心配そうに私を見て言ってくれる。

私は口を開け、震える。

震えが、止まらない。

「きゃあぁぁぁぁぁぁ!!」
誰かの声。
私の耳をその声が駆ける。

恐る恐る見ると、そこには髪がぼさぼさな女の人が立っていた。

私はその場にへたりこむ。

腰が抜けてしまったのだ。

足腰に力が入らない。

「お、おい、どうしたんだよあやか!!
急に叫びだして……」

正木が私を心配してからだろうが、
声をだんだんと大きくしてきた。

その声に肩がビクッと震えた。

「違う、違うの!! 私じゃない……
喋ったのは私じゃない! 誰かいるの! そこに!」

私は恐怖から目をつむり、耳を塞いで

鋭く叫び声が聞こえた方へ指を指す。