「それにしても、
さっきから同じ中学の同級生ばっかに会うんだ」

ベルに掻き消されたと思っていた私の声は

正木には届いていたのか。

正木によると、ここに連れてこられた、

というのは理解しているが、

連れてこられる少し前の記憶がない。

つまり、誰がつれてきたのか誰もわからないということだった。

「誰も居ないし……喋りやすい奴がいて良かったよ」
そういってにこやかに笑う。

正木にとってはただ安心しただけなのだろうが、
私は少しどきどきしてしまった。

こんな時なのに……。

人間の仕組みって少しおかしいかも、
と何となく思った。

「というか、なんでそんなにその制服濡れてるんだ?」
ドキッとした。でも、これはときめく方ではない。