「何だこれ……」


……え。
私が喋ったと同時に他の声が聞こえた。
男性の声だ。しかも、聞き覚えがある。

「ひっ!?」「うおわっ!?」

その聞き覚えのある声と、私の声は
またもやほぼ同時に間抜けな声を発する。


みのりは嬉しそうな、安心したような
表情で辺りをぐるりと見渡す。

「正木っ!!」

遠藤正木……。私とみのりの幼なじみ。

偶然家が近所でよく遊んだやつ。

最近も良くパソコンのメールでやり取りしている。

みのりがこちらに来る前から、お互いに知り合いだったらしい。つまり、私よりみのりの事を知る存在なのかもしれない。

でも。どうして。
どうしてこんな時間にいるの。

しかも、制服姿、手ぶらで。


みのりは正木が来たことに安心して
何やら喋っているが、
私は今何故正木がここにいるのかを考えて
ぼーっとしてしまう。


「お前らもやっぱり連れてこられたのか!
ということはやっぱり同じ中学の奴等は全員……」

正木が勝手に何かを一人で呟いている。

その中でも気になったワード。

連れてこられた?

同じ中学の奴等は全員、とは……?


いきなり変なことを言われて、
よく分からなくて頭がぐるぐるしている感じがした。

「それって、どういうこと!? 人がいないのと関係あるの!?」

私は咄嗟に正木に詰め寄り、問う。

私達より情報を持っていて、その上喋りやすい人だとは。

私達は今この状況を知るべきだと思う。

少しでも早く。