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ただ、学校という場所で男と話すのが嫌なだけ。

正確に言うと、それを見られるのが嫌。

そんな光景、嫌というほど見てきた。共学だから当然だ。

でも私は、その光景を見る女もまた見ているし、その女たちが言う言葉を嫌なほど聞いていた。

「そうなんだ、私も知り合いじゃないけど――」

そのわりには普通に喋っていたな……なんて。

私もそんな女と似た感覚なんだろうけど。

男はどうか知らないけれど、女なんて少し男と話せば、『男ったらし』やら『八方美人』なんて言われてしまう。

綾菜は誰とでも男女問わず話すことができる。

いい才能だと思うけれど、周りの冷ややかな目に気付かないのもどうかと思う。

綾菜に向けられる、その冷ややかな目の大半は、『嫉妬』にしても『憧れ』だからそのままでもやっていけるのだろう。

「長谷川くんってさどっかの部活のキャプテンだったよね、何だったかな」

私の知らない俊也を綾菜は知っていた。そして何かの発表会のように、綾菜の中の『長谷川くん』の話を続けていく。

「モテるらしいよ、この間もうちのクラスの子が告ってフラれたみたいだし」

綾菜の話に集中してしまう中、これは『俊也』の話じゃなくて『長谷川くん』の話だって強く思った。