against

蟻よりも忙しく動く、右のベンチにあぐらをかいている奴の指が視界に入り、どうにも思考が止まる。

しかもカチカチとリズミカルに音までなっていた。

「うるさい」

『い』の部分で下唇を噛みながら言ってやった。

「音出してねぇじゃん」

俊也は画面から目を離さずに、口と指だけを動かしていた。

「指がうるさい」

そう言うと、また少し笑って。しきりに動いていた指を止めて、鞄にいくつでも入れて歩けそうな、小型のゲーム機を組まれた脚の上に置いた。

「俺、暇じゃん。 お前ジャンプ持ってこねぇし」

あまりにも真剣に言うもんだから気がぬける。本当に何考えてんだか。

「つか、パンツ見える」

そんな事考えてんのかよ。
何だかこいつが男……と言うより人間だってことを忘れる。

後ろに当たり前のように建つ石碑みたいな。

「見たけりゃ見れば」

階段を上がる時、見て下さいと言わんばかりに、いちいちお尻の方を手や鞄で隠して上がる女は許せない。
見られたくないなら、長いスカートを履けばいい。短いスカートを履きたきゃ見られる覚悟がなければ。

私の変なこだわり。