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よく見ると、その『誰か』は学ランを着ているらしく男だとわかる。

その男が落ち始めた太陽に照らされて、一瞬キラリと輝いた。

男は私に気付いていないらしい。真っ直ぐただ下界を見つめていた。

オレンジ色の夕日がさらに辺りの雫まで輝かせ今、ここに立っている事さえ忘れてしまいそうだった。

雨上がりのその場所は、どんなに腕のある画家でも写真家でも、どんなに表現力のある小説家だって表すことのできないくらい綺麗なものだった。

とっくに雨は上がっているというのに、びしょ濡れのあの横顔でさえ綺麗で。

キラキラ輝く雫たちは、男の横顔ばかりに集中していた。

もしかして……泣いてる?
声を出すでもなく、ポタポタと黒髪から落ちる雫を拭うでもなく、ただ前を見る横顔から私は、いつになったら目が離せるのだろうか。

男の泣き顔なんて、もっと情けなくて、もっと弱いものだと思っていた。

でもその横顔は、強く私を引き付け離さなかった。