against

その花びらを見ながら、小さな違和感を感じる。

綺麗な薄いピンク色の中に混ざり合う、茶色く潰れた花びら。

誰か通った後なのか……なんて。最近、推理小説の読みすぎでつい何でもない事を深く考えてしまう。

階段の終わりが見え始め、重たい鞄も悪い足場も、忘れたかのようにペースが速くなる。

登りきった頭の上に、雨雲のなくなった、夕焼け前の明るい空が広がっていて、一瞬で目を奪われた。

空が凄く近くに感じた。

風にでも吹き飛ばされるように、速く流れる雲がぐるぐる回って見える。

回っているのは自分たちか。

少し壮大な宇宙を想像した私は、スッキリした気持ちで、濡れていない場所はないかと視線を地上に戻した。

戻すと同時に、私の目は再び奪われる。

いつもの私の特等席に、誰かが座っていたからだ。

その違和感のなさに、その場に立ち尽くしてしまう。