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「涼子には感謝してるんだよ」

「え?」

思わず聞き返してしまうほど驚いた。綾菜から感謝されることなんてないはず。

むしろ姿を見かけて追いかけてはきたけれど、普通に話してくれなかったらどうしようとか、いろんな想像が過ってしまうほど、私は綾菜との関係性を疑っていたから。

「涼子はさ、ちゃんと聞いてくれたから私の話」

それだけで?真意がわからずにいると綾菜は続けた。

「あるじゃん。聞いてもらうだけでスッキリするってやつ」

「うん」

「涼子にだけは言ってよかった。あの時下手に応援されたり、反対されたりされてたら自分で何も決められなかったから」

降り注ぐ日差しが綾菜を優しく包み込んでいるようで。もともと美人の綾菜がより綺麗にみえた。

「私は自分の意見がないだけだよ」

「そんなこと……あるかもしれないけど」そう言って大きな口で笑いながら。

「それでもね、それが必要な時もある」

そう言い切られてしまえば、そうなのかな?と思う自分もいて。少しだけほっとした単純で簡単な自分。