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「そうなんだ……」

「もういいんだ……いいっつーか、バスケで飯が食いたいとか選手になりたいだとか夢見てたわけじゃねぇから」

私はスポーツなんてしないからわからないけど、そんなもんなのかな?

キャプテンだったんだからそれなりに上手かったはずだよね……。


「勿体ない」

「え?」

私の自然と口から溢れるように出た言葉に俊也は驚いたようだった。

「あ、いや、普通に考えてね」と言うと少し考えたフリをしていたけれど、「そうか?」とわからないと言ったように難しい顔をしていた。

気付けば見上げる空が紫色に変化し、辺りがだんだんと暗くなってきている。

それほど距離がない隣のベンチの俊也の顔も見えにくくなってきていた。

夕日が長く感じたのと同じようにこの、紫色の薄暗い時間も長く感じる。私はただ時間が流れるのを感じていた。

少し目をとじると、もう夏なんだって空気が教えてくれる。