against

「聞きたい?」

「え、あ、うん」

急にニヤリと笑ってやっとこちらを向いたから、一瞬言葉につまってしまった。


「――聞く」

そう言ったものの、緊張してじっとりと汗が出るのがわかる。

簡単に聞いてしまっていいのだろうか。聞いて私に何ができる?

「俺小学生の頃からバスケやってたんだけど、中学になっていいチームに恵まれて、よりバスケを好きになったんだけど」

「うん」そう相槌をうつのが精一杯だった。

「中学の時に出来たチームが本当に最強で……“仲間”っていうのかな」

『仲間』か……恥ずかしくなってしまうような言葉を平然と言葉に出来るなんて。どれほどのホンモノだろうか。

「そいつらとは何をするにも一緒で本当に毎日楽しくて、五人一緒の高校に行ってバスケやろうって同じ高校受験した」

「ちょっ、うちの高校ってバスケ強かったの?」

そんな話聞いた事もない。

「いや、バスケ部すらなかったよ」

「じゃあ何でうち?」

「男はやっぱり学ランだろって、あとやっぱり無名校を有名にしようって……バスケ漫画読みながらさ、本気で言ってたんだもんな、あの頃」

少し俯いた俊也だったけれど、その顔は悲しそうではなく、懐かしんで微笑んでしまっている苦笑いだった。