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「何泣いてんだよ」

ヒーローなんて格好いいもんじゃないけれど、タイミングの問題。俊也はそういう奴なんだ。

隣のベンチにドサッと座り、何も言わずにこちらを見ている。

最初こそ怒ったような難しい顔をしていたけれど、次第に困ったような焦るような情けない顔になっていくものだから、少しの涙は勝手に乾いてしまった。

きっと誰よりも慎重で誰よりも敏感。私の気持ちも感じとりすぎているのではないかと、嫌な気はしないけれど、心配されている立場だけれど少し心配になる。

「夕陽が眩しかっただけ」

俊也は精一杯の強がりをとくに笑う事なく、ホッとした表情を浮かべた。

「そーっすか」

私から視線を外して一言。「確かに眩しいわ」と呟きながら夕陽を見ていた。