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私は鞄から一冊の『本』を取り出し膝に置いた。

今、ハマっている推理小説だった。

読み掛けの頁をめくってみても、やはりとても読めるものではなかった。本をパタンと閉じる。

外灯もなにもないこの場所の弱点だ。

しかたない。また明日にしよう。

そう、明日に。

ここは明日に繋がる場所。
たっぷり充電したらまた明日を生きる事ができる。

本を両手で抱くと、胸がぎゅっとした。

人目がない事をいいことにスカートを気にせず、足を折りたたんで一緒に抱いて頭を埋める。

早くこの意味もなく遅い時を終わらせてほしい。

額にあたる腕時計のゴツゴツが何よりも痛く、せっかくでてきた星は雲で見えなくなっていた。