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――ここも同じで、駅員のいない改札をぬけると、すぐに住宅街が広がっていた。

何度か来たことはあるが、静かで私の家の周辺よりも、立派な家が立ち並ぶ。

昔、おじいちゃんが言っていた。

この辺りは昔は小さな林になっていたんだって。

今はその面影はどこにもない。

オシャレな出窓のある家を見て、羨ましく思いながらも、足を止めずに進んだ。

少し歩いた所で、携帯を取り出し、発信ボタンを押す。

静かな通りに人気はなく、呼び出し音だけが虚しく私の耳の奥に響いていた。

なかなか止まらない呼び出し音。

止まらないまま、私は目的地に到着してしまった。

落ち着いたグレーの壁の大きな家、初めてお邪魔した時は、天井の高さに驚いた。

標札に『江崎』と書かれた奈津美の家は、周囲の家に負けないほど、立派なものだった。