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「奈津美、何してんだろ」

まだまだ昼間の暖かさを残す放課後、駅までの帰り道をゆっくり歩きながら、私の唇は小さく動いていた。

ふと、思った事が口に出たのだ。

何もしたくないのに、今、この瞬間に何もしていない自分は想像できない。だからよけい奈津美が何をしているのかと思うと、なんとも言えない嫌な気分が襲う。

「……何してんだろね」

綾菜の表情は少しばかり曇っていた。

――〜♯〜♪〜♭〜♪

それ以上会話の続かない私たちの間に、不謹慎なノリのいいメロディーが鳴り響く。

綾菜は鞄から携帯電話を取り出し、メロディーを消した。

私の足は命令もしていないのにすでに駅の改札まできていて、通り抜けようとした時、急に立ち止まる。

綾菜が立ち止まったからだ。

「ごめん、ここでバイバイするわ」

手を拝むように合わせて、綾菜は申し訳なさそうに眉を下げた。

頭の回転が追い付かない私に対し、綾菜は「彼が迎えにきてくれるから」と説明してくれる。

納得した私は綾菜に手を振りながら、再び歩き出し改札を抜けた。