池上さんを探していると、

廊下を歩いていた。

というか、しゃがんでいた。

「…ぅ…っ」

泣いているんだと思う。

スマホの画面を見ながら。

多分、彼のことだろう。

そう思うと、胸が苦しくなった。

「池上さん!」

名前を呼ぶとビックリしたように見上げる。

急いで、涙を拭いて無理して笑うから。

「どうしたの?

東雲くっ!」

つい、抱きしめてしまった。

「彼の代わりでいいから。

僕を利用してよ。」

そう、言った。