【池上 春】

″彼″は、私のはじめての大切な人だった。

今でも、あの日の事が思い出せる。

あの日は、彼に学校終わりに寄り道をしようと言われて、付いていった。

夕日が綺麗な公園に連れていかれて、

夕日のせいか顔が赤く見えた。

恥ずかしそうに、首の後ろを掻きながら

『俺、春の事が好きです。

絶対に笑わせるから…付き合ってください。』

私も大好きで。

その時、はじめての大切な人ができた瞬間だった。

嬉しくて、涙を流しながら

『はい…っ!

私も…大好きです!

よろしくお願いしますっ!』

そう、答えたよね。

すると、君は優しく私の涙を拭きながら、

『泣くなよ…』

って、笑ったっけ。

そのやり取りは、もう出来ないのに。

1年も前なのに…

昨日のように思い出してしまう。

思えば、あの頃が一番幸せだった。