「あ!」
「え?なになに」
「ここ、公式が一つ抜けてる!」
「うわ、ほんとだ!
あー、じゃあこうなって……よっしゃできた!」
早瀬くんのノートに丸がつく。
それを見て私も嬉しくなった。
「ありがとな八代!」
「いえいえ!でも珍しいね、早瀬くんが数学の問題でこんなに悩んでるの。」
思っていたことを言ってみる。
すると、「いつもだよ」と言う返事に驚いて早瀬くんの方を見た。
「俺、別に勉強が得意ってわけじゃねぇよ?
いっつも必死だし。
数学は特にさっきみたいなミスしょっちゅうあるし。
何が『完璧王子』だよって感じだよな。」