この文を読むあなたには、好きな動物がいるだろうか?犬、猫、鳥、魚・・・。
春は猫という動物が好きだ。そんな春には登下校の通学路でひそかに楽しみにしていたことがあった。家から数分歩いたところに暗い道がある。ほんの少しの道だ。そこには古い家があって、いつもたくさんの猫がいる。それが毎日の癒しだった。
春はその猫に触れるわけでもなく、猫を見るのが好きだった。だから、傷だらけでも生きている猫を見ると「頑張れ」と背中を押したくなるし、はじめて見る子猫がいると嬉しくて、あたたかい気持ちで学校に行った。
ある時、春は傷だらけで片目がない猫を見た。背中がゾクゾクするとともに何故だか、その場から逃げ出していた。
それからは、その場所を通るのが怖くなった。だから、行きも帰りも、速足で通るようになった。野良猫じゃなくても、猫じゃなくても、何故かおびえるようになった。