中一の頃の私は、今とは真逆の性格だった。クラスでは中心グループにいて、軽く染めた髪に着崩した制服。いわゆるギャルだった。
小学生の頃は勉強が得意でクラス委員をしていた。母親に中学受験を勧められ勉強に力を入れた。
でも、結果はだめだった。
目標が高かったのか、やり方が悪かったのか。
自分の意志でやると決めたのに、受からなかったことに腹が立って、ただイラついて、家族に八つ当たりしてしまった。
それから私は壊れてしまった。
勉強漬けの毎日だった小学生時代が嘘のように、中学に進学すると私は一切勉強しなくなった。両親からは呆れられ、何も言われなかった。
遊びたいから遊ぶ、寝たいから寝る。
やりたいことをやりたいときにやる。
その時はやりたい放題やっている時間が一番楽しかった。授業中は先生の話は聞かず、仲のいい友達とはしゃいでいた。周りのことなんてお構いなし。
こんな感じだから、校内ではちょっとした有名人になっていた。
「やりたいことをやってなにが悪い」
その考えだけが頭にあった。先生に注意されても、やりたいことをやればいいとテレビで聞いたことがあったから、悪いことだとは思わなかった。
その年の秋、先生が勝手に決めた委員会で私は図書委員になった。
もちろんやる気なんてものはなく仕事もサボった。同じ委員の人から何を言われようが好き勝手やっていた。
小学生の時は時間に縛られ好きなことができなかったため、後悔している。だから今度は後悔しないように生きると決めていた。
そんなある日、暇つぶしに図書室に顔を出した。
そこは人がおらず静まり返っていた。
いたのは図書委員長の中川紗友莉(ナカガワ サユリ)さんだけだった。
彼女は本を読むのが好きらしく、去年は二〇〇冊読んだらしい。
「よく飽きずに読めるよなぁ」
狭い本棚の間を進みながら呟いた。
特に読みたいと思う本もなく帰ろうとした時
「片山さん」
紗友莉さんに呼ばれた。
「何ですか?」
彼女は優しい声で名前を呼んだ。
私が仕事をサボっても、叱ることはなかった。むしろかばってくれていた気がする。
仕事をしない私に腹を立てていたある先輩に
人のことを言う前に
「自分の仕事をしてくださいな」
口癖のようにそう言っていた。
私の態度にイライラする方が普通だと思うけど、紗友莉さんは笑顔で話しかけてくれた。
「片山さんはイキイキしてていいね。その性格いいと思うよ。」
私に言っているのか、ひとりごとなのか分からなかった。
図書室から出ようとドアに手をかけた時
次の瞬間、空気が変わった。
私の背中にピリッと緊張が走った。
そんな中、紗友莉さんが口を開いた
「誰になんて言われようと、自分の生きたいように生きればいい。でも、生きたいように生きれる人は、周りに迷惑をかけずに一人で生きられる人だよね。」
シーンと静まり返った図書室。
そこにいるのは私と紗友莉さんだけ。
「人は一人では生きられないよね、だから支えあってるんだよ」
紗友莉さんがそう言っていたのを聞いたことがあった。
「矛盾してる。ほんとに一人で生きれる人はいるんですか?」
「そうだね〜、中には自由を求めて一人で生きてもいいっていう人もいるけど、やっぱり一番はどんな生き方をしてもお互いを認めあえる、そんな関係でいられる人と生きられることかな。」
その言葉を聞いて私は泣いていることに気づいた。
中学一年生の私にはちょっと難しかった。
私は周りに迷惑をかけまくってた、一人では生きられない人間だ。
周りに迷惑をかけてまで、私の存在を誰かに認めてほしかった。
自由に生きていればそのうち誰かが私のことを認めてくれる。
そう思ってた。
だけど、そうじゃない。
本当に認めてもらいたいなら、生き方を変えなきゃだめだ。
その言葉は深く心に刻まれた。
小学生時代の悔しさをぶつけて、いっそのこと消し去ろうとしていた自分がいたことを思い出した。
努力をしても報われない人生に嫌気がさした。それなら努力なんてしないで、楽しめばいい。
紗友莉さんの言葉を聞くまではそう思っていた。
努力は必ずしも報われるわけではない、でも努力をしてよかったと思える日は必ず来るよ。
私たちは中学生の人生はまだまだこれからなんだから、いっぱい失敗して、いっぱい学んで、いっぱい楽しもうよ。
紗友莉さんの一言からたくさんのメッセージが送られているような気がした。
小学生の頃は勉強が得意でクラス委員をしていた。母親に中学受験を勧められ勉強に力を入れた。
でも、結果はだめだった。
目標が高かったのか、やり方が悪かったのか。
自分の意志でやると決めたのに、受からなかったことに腹が立って、ただイラついて、家族に八つ当たりしてしまった。
それから私は壊れてしまった。
勉強漬けの毎日だった小学生時代が嘘のように、中学に進学すると私は一切勉強しなくなった。両親からは呆れられ、何も言われなかった。
遊びたいから遊ぶ、寝たいから寝る。
やりたいことをやりたいときにやる。
その時はやりたい放題やっている時間が一番楽しかった。授業中は先生の話は聞かず、仲のいい友達とはしゃいでいた。周りのことなんてお構いなし。
こんな感じだから、校内ではちょっとした有名人になっていた。
「やりたいことをやってなにが悪い」
その考えだけが頭にあった。先生に注意されても、やりたいことをやればいいとテレビで聞いたことがあったから、悪いことだとは思わなかった。
その年の秋、先生が勝手に決めた委員会で私は図書委員になった。
もちろんやる気なんてものはなく仕事もサボった。同じ委員の人から何を言われようが好き勝手やっていた。
小学生の時は時間に縛られ好きなことができなかったため、後悔している。だから今度は後悔しないように生きると決めていた。
そんなある日、暇つぶしに図書室に顔を出した。
そこは人がおらず静まり返っていた。
いたのは図書委員長の中川紗友莉(ナカガワ サユリ)さんだけだった。
彼女は本を読むのが好きらしく、去年は二〇〇冊読んだらしい。
「よく飽きずに読めるよなぁ」
狭い本棚の間を進みながら呟いた。
特に読みたいと思う本もなく帰ろうとした時
「片山さん」
紗友莉さんに呼ばれた。
「何ですか?」
彼女は優しい声で名前を呼んだ。
私が仕事をサボっても、叱ることはなかった。むしろかばってくれていた気がする。
仕事をしない私に腹を立てていたある先輩に
人のことを言う前に
「自分の仕事をしてくださいな」
口癖のようにそう言っていた。
私の態度にイライラする方が普通だと思うけど、紗友莉さんは笑顔で話しかけてくれた。
「片山さんはイキイキしてていいね。その性格いいと思うよ。」
私に言っているのか、ひとりごとなのか分からなかった。
図書室から出ようとドアに手をかけた時
次の瞬間、空気が変わった。
私の背中にピリッと緊張が走った。
そんな中、紗友莉さんが口を開いた
「誰になんて言われようと、自分の生きたいように生きればいい。でも、生きたいように生きれる人は、周りに迷惑をかけずに一人で生きられる人だよね。」
シーンと静まり返った図書室。
そこにいるのは私と紗友莉さんだけ。
「人は一人では生きられないよね、だから支えあってるんだよ」
紗友莉さんがそう言っていたのを聞いたことがあった。
「矛盾してる。ほんとに一人で生きれる人はいるんですか?」
「そうだね〜、中には自由を求めて一人で生きてもいいっていう人もいるけど、やっぱり一番はどんな生き方をしてもお互いを認めあえる、そんな関係でいられる人と生きられることかな。」
その言葉を聞いて私は泣いていることに気づいた。
中学一年生の私にはちょっと難しかった。
私は周りに迷惑をかけまくってた、一人では生きられない人間だ。
周りに迷惑をかけてまで、私の存在を誰かに認めてほしかった。
自由に生きていればそのうち誰かが私のことを認めてくれる。
そう思ってた。
だけど、そうじゃない。
本当に認めてもらいたいなら、生き方を変えなきゃだめだ。
その言葉は深く心に刻まれた。
小学生時代の悔しさをぶつけて、いっそのこと消し去ろうとしていた自分がいたことを思い出した。
努力をしても報われない人生に嫌気がさした。それなら努力なんてしないで、楽しめばいい。
紗友莉さんの言葉を聞くまではそう思っていた。
努力は必ずしも報われるわけではない、でも努力をしてよかったと思える日は必ず来るよ。
私たちは中学生の人生はまだまだこれからなんだから、いっぱい失敗して、いっぱい学んで、いっぱい楽しもうよ。
紗友莉さんの一言からたくさんのメッセージが送られているような気がした。