目が覚めたのは昨日と同じ時間。

朝から緊張して、
ご飯がのどを通らなかった。

そして今は放課後十分前。

心臓うるさい。
体温上がる。

これいやなんだよねー。

昨日の夜からこの調子、
いい加減おさまれ。

それは放課後が近づくにつれ、
ひどくなる。

告白するのって大変だな、
ももかもこんなだったのかな。

キーンコーンカーンコーン

鳴ってしまった

放課後のチャイムが。


「成瀬ちゃん、頑張ってね!」

帰り際、ももかに言われて
ちょっとだけ自信がついた。

数分経って、教室には誰もいなくなった。

今日はなんだか
時間が経つのが早く感じる。

一人になった私は、特にすることもなく
ぼーっとしていた。

グランドには野球部にサッカー部。

音楽室には吹奏楽部。

そして教室には

「相変わらずぼーっとしてんな」

待ち合わせの約束なんてしていない。

でもこいつなら、絶対来ると思った。

「まだいたの?」

「まぁな」

普段通りの会話をする。

今日は来るの早かったな。

でも、もう決めてる。

あの音が鳴り終わったら、言うよ。

私の気持ち。


キーンコーンカーンコーン

鳴った

「あのさ、長谷部。ちょっといい?」

「なに?」

いつもと変わらない表情。

これから起こることなんて、
想像もしてないだろう。

少しずつ近づく二人の距離。

早くなる心臓。
上がる体温。
荒い息遣い。

隠すことなんてできない。

「あのね、私、好きみたいなんだ。
長谷部のこと」

言った、
言ったぞ私は。

長谷部どんな顔してんのかな。

あっ、

顔真っ赤、照れてんのかな。

少し恥ずかしそうに口に手を当て下を見ている。