キーンコーンカーンコーン

「じゃあ、いってきます!」

「いってらっしゃい!」

そう言って長谷部を呼び出しているという
屋上へ向かったももか。

「もう放課後か」

一人になった教室で頬杖をついた。

今日は確実にぼーっとしていた。

始業式での校長先生の話や担任の話を
何一つ覚えていない。

そして、聞きたくないチャイムの音だけが
耳に残っていた。

「長谷部、なんて返事するんだろ。
ももかは可愛いから、おっけーするのかな」

考えれば考えるほど、長谷部と過ごした時間が愛おしく感じた。

そんな時間をもう過ごせないと思うと
寂しくなった。

誰もいない教室で、静かに泣いた。