今のクラスにもだいぶ慣れてきた頃
ももかから相談があると声をかけられた。

「急にごめんね」

「大丈夫だよ、放課後はいつも暇だし」

どの部活にも所属していなかった私は放課後いつも暇をしていた。
相談の内容は、

「私ね、気になる人がいるんだ」

私の苦手な恋愛相談だった。

「へ〜誰だれ?」

話を切り上げるわけにもいかず、興味ありげに聞いた。

「えっとね、長谷部くん」

その名前を聞いた瞬間、周りの音全て聞こえなくなった。

私は一年前の入学式の日に、彼から告白されたのだ。

成瀬ちゃん?

その声にびくりと反応し、音が返ってきた。
心配そうに見つめるももか

「ごめん、なんだっけ」

大丈夫と言いながら話に集中した。

「成瀬ちゃんって長谷部くんと同じ中学だよね?よかったら、長谷部くんのこと教えてほしいなぁなんて」

彼は同じクラスの長谷部優斗。

私が通っていた中学は一学年二クラスの小さい学校だったため、同じ学年の子の顔と名前は一致する。私が通っている高校への進学率は低く、把握してる中では私と長谷部の二人しかいない?

「あぁ、いいよ」

気乗りはしないが、勇気を出して相談してくれたももかを応援したいと思い、そう答えた。