午前六時。

セットしていた目覚ましよりも早く目が覚めた。

「新学期…気まづいな。
運よく忘れててくれないかなー」

そう呟きながら制服を着た。

「いってきまーす」

行く気のない体を起こして歩いていた。

通いなれているはずなのに、なんだかいつもの倍以上の体力を消耗した気がした。


「成瀬ちゃんおはよ!」

学校に着いて一番に聞いたのは
ももかの元気すぎる声だった。

「おはよ。元気だね。
なんかあった?」

「そうなの!夏休みの間ね、長谷部くんといっぱい話せたんだよ!」

今一番聞きたくなかった人の名前を聞いてしまった。

「そっか、よかったじゃん」

そう言った胸がチクリと痛む。

「それでね、今日の放課後に告白しようかと思って!」

「え!?」

いきなりすぎて固まってしまった。

「ごめんね突然で。でも、もう決めたことだから!」

固まる私に笑顔で話しかけるももか。

そっか、ももかも自分なりに考えたんだ。

「頑張ってね」

夏休み前までは、話しかけるなんて難易度高いって言ってたのに
今じゃ告白宣言までして。

すごいな。

「ありがとう」

緊張しているのか
お礼を言ったももかの顔が少しこわばっていた。

「そりゃ緊張するよね」

席に戻ったももかを見て思った。

頑張ってほしいと思う反面、
長谷部を取られてしまうんじゃないか
という不安が入り交じり、
複雑な気持ちになった。

今日で私の恋、終わるのかな。

また、あいつと一緒に出かけたい。

胸が苦しくなって、涙目になっていた。

会いたい。

だって、顔を見て話せるのが
今日で最後かもしれないなら。

「はよ」

「あ、おはよ」

長谷部だ。

今一番会いたかった人。

いつもいきなり現れる

「今ので最後かー」

そう言いながら、机の上でぐったりした。