多少の葛藤があったけど、やっぱりももかのことを思うと、メッセージを打つ手が動いてしまう。

(あのね、私も長谷部のことが好きみたい)

送信を押す指が震えていた。

もしこれでももかと距離が出来てしまったら、と考えると送信したことを後悔した。

今まで仲良くしていた人と比べると、ももかと過ごした時間は特別濃く感じた。
なんの根拠もないのに。

ピコン♪

返事がきた。

(そうなの!?成瀬ちゃん恋愛とか興味ないのかと思ってた!)

ももかに言われるって、私ってどれだけ恋しなさそうに見えるんだ?

(やっぱり高校生は青春しなきゃだよね!
成瀬ちゃんと好きな人が一緒なのは不思議な感じがするけど、私は全力で長谷部くんもらいにいくよ!
成瀬ちゃんにとられるまえに)

(負けないから!)

こんなに強気なももかを見たのは初めてだ。

(変なこと聞くんだけど、こんな私でも友達でいてくれる?)

(何言ってるの?同じ人を好きになったくらいで、友達は友達でしょ?
そんなことで友達を手放したら絶対そんしちゃうぞ!)

こんなにズバッと言ってくれるんだな。

あんなに心配していた自分がばかみたいに思えた。

(ありがとう)

この一言をどうしても伝えたかった。

ももかの好きな人と同じ人を好きになった私
を「応援するって言ったじゃん」って突き放さないのはなんで?

「応援する」を形にできなかった私と友達でいてくれるの?

次々と疑問が出てくる。

やっぱりももかは優しい、

恋のライバルが現れて焦ってるに決まってる。

とられてしまうんじゃないかと不安に思うに違いない。

でも、ももかはそんなことは一切口に出さずに今まで通り接してくれる。

「こんなに優しい子、ホントにいるんだ」

思わず口からこぼれてしまう。

そんなももかに私はなにかしてあげられているだろうか。

私はただ、長谷部の好みや性格を教えただけだ。

おまけにその人に恋をしてしまった。

ももかには絶対幸せになってほしい。

その願いは変わらない。

でも、私だって譲れない。

だって、初めての恋だから。譲りたくないよ。

(どういたしまして。
成瀬ちゃんもぼけーっとしてたらだめだぞ!)

(わかってるよ。私だって負けないから!)

ほんとにももかは優しいな。
理想の友達そのものだ。

そんなももかに寄り添うように答えた。