高校二年生の春。
去年仲良くしていた子とはクラスが離れてしまった。
消極的な私には、特別仲のいい友達がいるわけではない。

「今年はぼっちかなぁ」

そんなことを呟きながら、担任の先生の話を聞いていた。

休み時間になると、約束されたかのように次々と女子のグループができていった。

「女子ってグループ作るの好きだよね」

いや、それが普通か。

行動する時はいつも一緒で、流行りのファッションの話や昨日やっていたドラマの話で盛り上がる。

大勢で騒ぐことが苦手な私は、グループ行動が好きではない。

同じ女子なのになんでこんなに違うかな。

一人でいることが嫌いなわけではない。
気が楽だから一人でいる方がいい時もある。
普段からクラスの子とあまり話さない冷たい子と認識されがちだけど、話しかけられたら笑顔で答える。
ただ自分から話しかけないだけだ。

周りを見渡しても私みたいに一人でいる子はほかにいな・・・いた。
しかも隣の席。
背は私と同じくらいで、ゆるふわショートヘアの似合う可愛らしい女の子。
名前は確か

「野崎ももか」

気づいた時にはもう目が合っていた。

またやってしまった!

私は心の声を無意識のうちに口に出してしまうことが多い。

急に名前を呼んで変なやつって思われなかったかな。

「片山成瀬さんでしたっけ?」

名前を呼ばれ我に返ると、野崎さんがこちらを見てにこにこしていた。

この日から私たちは仲良くなった。

友達とまでは言わないがお互いほどよい距離で、正直私は心地よかった。

私は仲のいい子から、喋り方が冷たいとツッコまれていた。自覚はあるけど、中学の時からこんな感じで今さら変えるつもりはない。

内気なももかは友達もそれほど多くなくて、心を開けて話せるのは三、四人だという。そんなももかのいいところは友達思いで優しいとこ。