屋上に向かおうと思ったが、

途中律の顔色が悪くなったのに気付いた。



俯き加減で辛そうだ。



上り階段の途中の段で止まり、律を支える。



「え?」



「ん?どなえした?」



律の声に反応し、

月夜と玲、亜夢、その後ろで瑠樹と作戦らしきものを話していた颯天が振り返った。



「律君大丈夫ぅ?」



律に抱き着こうとした亜夢をスッと避けて、

下手に階段から落ちて難癖付けられても困るんで襟を掴む。



「!っチッ」



「っ!」



律が何か反応した様だが無視して、

亜夢を引っ張って立たせてから月夜、玲、颯天、瑠樹に向かって言う。



「スミマセンが早退します。律様の顔色がいつもと比べ悪く思われますので」



「へっ?雪香?」



「ん?って、ホンマやな。大丈夫か?律」



「ゴメン律、僕気付かなかった」



「……俺も」



「僕もですが、そうですね。今日は僕達も送ります」



「えっ、良いよ!僕ならこの通り平気平気」



早退させようとしてるのに、どうにも嫌がる律。



「アホ、悪化したらどうすんねん。今日は早よ家帰って休み」



「そうてすよ。ほら、行きましょう」



「でも……」



「ほら律、行こ」



「休むの大事。気楽にぐっすり寝れば大抵良くなる」



青龍に背を押される様にして階段を降り、廊下を進んで下駄箱で靴を履き替える。



律の荷物を奪う様にして預かる。



「ゴメンね。……ありがと、雪香」



いつもと違う、自然なのに力のない笑みを私に向けた律。



………様子が悪化してる気がするのは気のせいであってほしいが、

現実逃避はしてる場合では無い。