「そうなんですか?」



機嫌の悪そうなままパソコンをいじっていた月夜が意外そうな、

信じられない。だが同時に興味はあるといった顔付きで颯天を見た。



「せやで。ホンマ驚いたわ」



「いや、明らかに苛ついてたでしょ」



「っそりゃ当たり前に避けられ続けたら苛つくわ!」



……何か、いつもと違う。



亜夢と颯天以外の口元が微笑んでいる。



颯天は怒ってるようだが、じゃれる程度のものだ。



唯一亜夢が私を睨んでるが、月夜、颯天、瑠樹、玲は口元に笑みを浮かべ目元も優しい。



作り物ではない、自然に出来た笑みだ。



いつもと違う雰囲気の青龍に驚きつつ見ていると、隣で律が呟いた。



「雪香、ありがと」



何に礼を言ってるのかが気になったのとほぼ同時。



「雪香!早(は)よしい!」



照れ隠しの様に私に言った颯天。



空気扱いしろと言ったはずなんだが………。



……だがそれでも、雰囲気が柔らかく感じるのは勘違いではないだろう。



居心地が良い。



雪希と雪路には悪いが、青龍の根は救いようの無い程までは腐ってないようだ。



だがそれでも思う。



颯天は忘れてるのか知らないが、雪路の顔を殴ったんだ……。



それだけは変わらない。



なのに不思議と私の中で青龍の印象は悪くない。



もしかしたら、雪路が正しかったと分からせれば改心するかも知れない。



……自分への対応が変わっただけなのに、こんな事を思うとは単純だな。



そう思いながら、立ち上がろうとした時。