ある日突然!?

場所は移って屋上。



さて、考えてみれば分かる事だ。



つらら達が自分達より弱いと思い込んでる颯天、月夜、亜夢の機嫌は悪い。



自分達が勝つと思い込んでいた闘いをする前に引き分けにされたからか、

亜夢に何かした可能性がある相手を殴れなかったからかわからないが。



玲は円に起こされてすぐここに来たのでイマイチ状況を理解していないのと、

律と瑠樹は何やら私をチラチラと見たり見なかったり。



率直に言おう。居心地が悪い。



そんな事を思ったとほぼ同時。



「瑠樹、雪香、もう一回や」



真剣な顔付きで言われ思わずギョッとした。



考えても見よう。



先程まで不機嫌オーラ全開で、今まで自分を空気程度にしか認識していなかっただろう、

相手を見下した態度の野郎が突然真剣な顔付きになって自分を見たんだ。



驚かない方がおかしいと私は思う。



てかもう一回って。嫌だよそんな面倒な。



手加減間違えたら怪しまれる可能性は出てくるわ、

力の差を感じてやりにくいわ、雪路を殴った時の仕返ししそうと思った場合色々面倒だ。



そんな私とは違う考えらしい瑠樹は立ち上がっていた。



「えっ、ちょ、ここで喧嘩するの?そりゃ広さはあるしやりやすそうだけど……」



心配そうな表情と視線を、同じ様にフェンスに凭れて座っている私に向ける律。



「律も見たやろ。コイツ俺等2人の連携避けながら雪路の方見とったんや」



あっ、そういえば見てたな。



何せ気になったから。



………えっ、それで怪しまれたのか?



「本気で行ったらどないなるか気になるやろ、普通」



その言い方だと、本気じゃなかったと。



大分冷静さ失い掛けてた為か、確かに本気は出せてなかっただろうが。



何だその興奮した様な表情は。



ニヤッと笑った笑みを気持ち悪く感じるのは多分、

円や慎が黒い笑みを浮かべてロクな事を起こさないからだろうか。



それとも単に私の颯天に対する印象が悪いからか。



はたまた本当に颯天が気持ち悪いのか。